説明的文章(論説文・評論文など)の長文読解は,筆者の言いたいことと,文章の論理の流れを正確につかめるかを問う問題です。内容一致・内容説明・文補充・段落整序など,設問の形式はさまざまですが,求められている力は共通しています。このページでは,説明的文章を読むうえでの基本方針と,論理関係のおさえ方,そして設問パターン別の解き方を整理します。
説明的文章を読むうえでの基本方針
設問に目を通したうえで本文をよく読み,「筆者の言いたいこと」「本文中の各要素間の論理関係」を「ミクロに」「マクロに」おさえる
本文を読む前に設問に目を通しておくと,何に注意して読めばよいかが分かります。そのうえで,一文一文の意味(ミクロ)と,段落・本文全体の流れ(マクロ)の両方を意識しながら読み進めましょう。
| レベル | おさえること |
|---|---|
| 1. 文 | 一文ごとのテーマ・トピックと,その文で述べられている内容 |
| 2. 段落 | 段落のテーマ・トピックと,段落内の各文の役割 |
| 3. 本文全体 | 本文全体のテーマ・トピックと,筆者の主張 |
「筆者の言いたいこと」の3つの要素
① テーマ・トピック / ② テーマ・トピックに対する筆者の主張 / ③ 筆者の主張に対する論拠
Many people believe that multitasking makes them more productive. However, research suggests the opposite. When we switch between tasks, our brains need time to refocus, and this repeated switching reduces both speed and accuracy. Therefore, focusing on one task at a time is usually more efficient.
多くの人は,複数の作業を同時に行うと生産性が上がると信じている。しかし,研究は逆のことを示している。作業を切り替えるとき,脳は再び集中するまでに時間を必要とし,こうした切り替えの繰り返しによって速さも正確さも落ちてしまう。したがって,一度に一つの作業に集中するほうが,たいていは効率的なのである。
第1文の Many people believe that ~ は,筆者の主張ではなく一般論です。直後の However で筆者の主張が示されます。「一般論 → However → 筆者の主張」は説明的文章の典型的な流れなので,必ずおさえておきましょう。
論理関係をおさえる
よくある「本文中の各要素間の論理関係」
因果関係 / 相関関係 / 順接関係 / 逆接関係 / 並立関係 / 累加関係 / 対比関係
| 関係 | 内容 | 目印になる語句 |
|---|---|---|
| 因果関係 | 原因と結果 | because / therefore / as a result / lead to / cause |
| 相関関係 | 一方が変わると他方も変わる | the + 比較級 ~, the + 比較級 … / be associated with |
| 順接関係 | 前の内容から自然に話が続く | and / then / thus |
| 逆接関係 | 前の内容から予想されることと反対 | but / however / yet / although |
| 並立関係 | 同じ資格のものを並べる | and / or / both A and B |
| 累加関係 | 前の内容に付け加える | also / moreover / in addition / furthermore |
| 対比関係 | 2つのものの違いを比べる | while / whereas / on the other hand / in contrast |
相関関係と因果関係の区別には注意が必要です。「A が増えると B も増える」(相関)からといって,「A が原因で B が起こる」(因果)とは限りません。設問で問われたときに,本文がどちらの関係を述べているかを正確に読み取りましょう。
段落の構造をとらえる
英語の段落は「段落頭 → 段落中 → 段落末」の流れで組み立てられる
| 位置 | 役割 |
|---|---|
| 段落頭 | 前の段落のまとめ / 前の段落からのつなぎ / その段落のイントロ |
| 段落中 | 段落頭で示した内容の具体化・抽象化 / 次の内容への流れを作る |
| 段落末 | その段落のまとめ / 次の段落へのつなぎ / 次の段落のイントロ |
段落頭と段落末には,段落全体のテーマ・トピックや主張が表れやすくなります。時間が限られているときは,各段落の最初と最後の文を特に丁寧に読みましょう。
段落・文の流れを問う問題
| 問題形式 | 着眼点 |
|---|---|
| 段落整序問題 | 各段落間の「テーマ・トピックのズレ」「論理展開の飛躍」を意識する |
| 文補充問題(本文全体) | 各文間・各段落間の「テーマ・トピックのズレ」「論理展開の飛躍」を意識する |
| 文補充問題(段落内) | 補充する文のテーマ・トピックを意識しつつ,段落内の「論理展開の飛躍」を探す |
| 余文削除問題 | 段落全体の「テーマ・トピック」「主張」「論拠」を意識しつつ,各文の「重要度」を判別する |
| 大意把握・表題選択問題 | 各段落・本文全体のテーマ・トピックを意識しつつ,各選択肢の「網羅度」を判別する |
ヒントとなる語句
| 手がかり | 注目するポイント |
|---|---|
| ディスコースマーカー | 対比・具体化・言い換え・結果を表す接続詞・副詞句・前置詞句 |
| 指示語 | this / that / these / such などが何を指すか |
| 固有名詞 | 初めて出てくる固有名詞は詳しく説明される |
| 冠詞 | 初出の名詞には a / an,既出の名詞には the が用いられる |
| 時制 | 文章中の時制がめまぐるしく入れ替わることはあまりない |
In 1928, Alexander Fleming noticed something strange in his laboratory. ( ) The mold had killed the bacteria around it.
1928年,アレクサンダー・フレミングは研究室で奇妙なことに気づいた。( )そのカビは,周囲の細菌を死滅させていた。
空所の後の The mold には定冠詞 the がついているので,カビはそれより前に一度登場しているはずです。(a) の A mold が初出の名詞となり,次の文の The mold につながります。冠詞の基本は「限定詞・冠詞 Level 1」で確認しましょう。
設問パターン別の解き方
選択肢問題
各選択肢の中身を読む前に「自分なりの答え」をきちんと用意する
「まぎらわしい」「怪しい」選択肢を選ばないように注意する / 適宜消去法を活用する
選択肢を先に読むと,もっともらしい選択肢に引きずられがちです。まず本文の該当箇所を読んで自分なりの答えを考え,それに最も近い選択肢を選びましょう。always / only / never などの断定的な語を含む選択肢や,本文にない内容を含む選択肢は「怪しい」選択肢です。
内容説明問題「〜とはどういうことか」
設問の条件を読んで「答え方のフレーム」を必ず確認する
下線部の内容を分析・和訳したうえで,前後の内容を用いて言い換え・具体説明する
「〜とはどういうことか」と問われたら,答えは「〜ということ。」の形で結びます。字数制限や「具体的に」「本文に即して」といった条件も必ず確認しましょう。下線部の指示語や比喩表現は,前後の内容を用いて具体的な言葉に置き換えるのが基本です。
理由説明問題「〜はなぜか」
設問の条件を読んで「答え方のフレーム」を必ず確認する
下線部の内容とトートロジー(同じことの繰り返し)にならないように,書くべき要素を吟味する
「〜はなぜか」と問われたら,答えは「〜から。」の形で結びます。たとえば「彼が会議で発言しなかったのはなぜか」に「発言しないことにしたから。」と答えても,下線部を言い直しただけで理由になっていません。下線部の前後にある因果関係を探しましょう。
並べ替え問題
候補となる単語群の中で「チャンク」「カタマリ」を作る
空欄部前後のつながり・文構造を正確にとる
いきなり先頭から並べようとせず,the + 名詞,前置詞 + 名詞,助動詞 + 動詞の原形のように,確実に組み合わさるカタマリから作りましょう。そのうえで,空欄の前後とつながるように文全体の構造(SVOC)を組み立てます。
確認しよう
設問に目を通す → 何に注意して読むかを決める
筆者の言いたいこと → テーマ・主張・論拠を「ミクロに」「マクロに」おさえる
論理関係 → ディスコースマーカー・指示語・冠詞などを手がかりにする
→ 一般論(It is often said that ~)→ 逆接(however)→ 筆者の主張
→ 「技術が人々を孤立させるとよく言われるが,実際には多くの人が遠くの友人と連絡をとり続けるのに役立っている」
Some animals use tools. Chimpanzees, for example, use sticks to catch insects.
→ 具体化(for example):前の文の内容を具体例で説明している
→ 「道具を使う動物もいる。たとえばチンパンジーは,虫を捕まえるために棒を使う」
文学的文章の読み方は「長文読解(文学的文章)」,文章全体をまとめる問題は「要旨要約」で扱っています。